摸
摸
名詞
標準
文例 · 用例
「いばゆ(嘶)」という語の「い」もまた馬の鳴声を摸した語であることは従来の学者の説いた通りであろう。
— 橋本進吉 『駒のいななき』 青空文庫
さすれば、国語の音としてhiのような音がなかった時代においては、馬の鳴声に最も近い音としてはイ以外にないのであるから、これをイの音で摸したのは当然といわなければならない。
— 橋本進吉 『駒のいななき』 青空文庫
八|疊の座敷に六|枚屏風たてゝ、お枕もとには桐胴の火鉢にお煎茶の道具、烟草盆は紫檀にて朱羅宇の烟管そのさま可笑しく、枕ぶとんの派手摸樣より枕の總の紅ひも常の好みの大方に顯はれて、蘭奢にむせぶ部やの内、燈籠臺の光かすかなり。
— 樋口一葉 『われから』 青空文庫
家に居る時も、外に居る時も、不斷に私はそれを考へ、この詰らない、解りきつた言葉の背後にひそんでゐる、或る神祕なイメーヂの謎を摸索して居た。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
家に居る時も、外に居る時も、不断に私はそれを考へ、この詰らない、解りきつた言葉の背後にひそんでゐる、或る神秘なイメ−ヂの謎を摸索して居た。
— 萩原朔太郎 『散文詩集『田舎の時計 他十二篇』』 青空文庫
僕の「月に吠える」中なる二三の作品が如き、正にこの神韻を摸してこれを俗化せるものなり。
— 萩原朔太郎 『蒲原有明に帰れ』 青空文庫
みんな堀口君の詩の摸倣ばかりだ。
— 萩原朔太郎 『詩の翻訳について』 青空文庫
十四日、丙辰、去る八日の絵合の事、負方所課を献ず、又遊女等を召し進ず、是皆児童の形を摸し、評文の水干に紅葉菊花等を付けて、之を著し、各郢律の曲を尽す、此上芸に堪ふる若少の類延年に及ぶと云々。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫