船形
ふながた
名詞
標準
文例 · 用例
そして、その間に細孔を無数に穿った軽量の船形棺を作って、その中に十分腐敗を見定めてから死体を収め、それに長い紐で錘を附けて湖底に沈めました。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
無論数日ならずして腹中に腐敗|瓦斯が膨満するとともに、その船形棺は浮き上るものとみなければなりません。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
恐らく水中では、頭上の船形棺をとり退けようとを射った拳銃を棺の上に落して、その上に自分も倒れたのですから、その燐光に包まれた死体を、村民達が栄光と誤信したのも無理ではありません。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
そのうち、瓦斯の減量につれて浮揚性を失った船形棺は、拳銃を載せたまま湖底に横たわっている妻アビゲイルの死体の上に沈んでいったのですが、一方牧師の身体は、四肢が氷壁に支えられてそのまま氷上に残ってしまい、やがて雨中の水面には氷が張り詰められてゆきました。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
そして、その船形のものは、古代|埃及人が死後生活の中で夢想している、不思議な死者の船だと思いますが」と云うと、鎮子は沈痛な顔をして頷いた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
寺は那古の觀音、船形觀音。
— 大町桂月 『房州の一夏』 青空文庫
那古に遊び、船形に遊び、洲崎に遊び、鷹ノ島に遊び、沖ノ島に遊び、手ぐり網の船をさへ放ちて、菱花灣上、到る處に我が遊蹤を印しけるが、取りわけて一つ我眼にとまれるものあり。
— 大町桂月 『北條より一ノ宮へ』 青空文庫
ゼムリヤ号は、とにかく或る巨大な衝撃に耐えたばかりか、その巨力に跳ね飛ばされて実に七十|哩を越える長距離を飛翔し、ヘルナー山に激突したのであるが、既に知られるとおり船形も殆んど崩れず、世界人の想像に絶する耐力を示した。
— 海野十三(丘丘十郎) 『地球発狂事件』 青空文庫