来空
らいくう
名詞
標準
文例 · 用例
しかし、これが元来空想的な傾向を有つシャクに、自己の想像をもって自分以外のものに乗り移ることの面白さを教えた。
— 中島敦 『狐憑』 青空文庫
――本来空、畢竟空である、空即空、色即色だ、この事実が観念としてゞなく体験として滲みだした。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
象徴とは本来空の不可思議を眼に見、耳に聴くための方便である。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
世を投げ遣りのだらりとした姿の上に、義理に着る羽織の紐を丸打に結んで、細い杖に本来空の手持無沙汰を紛らす甲野さんと、近づいてくる小野さんは塀の側でぱたりと逢った。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
本来空ならばなどて天地万象が生ぜむや。
— 木下杢太郎 『南蛮寺門前』 青空文庫
スラヴ人は元来空想に耽る国民性だから、無教育者の中にも意外な推理力や想像力を蓄えて人生をフィロソファイズするものがある。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫
「あれは何ですか、あの煙突は」「試作の毒瓦斯が空高く飛び去るためだ」「毒瓦斯は元来空気より重きをよしとするのでありまするぞ。
— ――金博士シリーズ・5―― 『毒瓦斯発明官』 青空文庫
※なくより外の琴の音も 二十五絃の暁に「いいわねえ、玉菊だよ」※くだけて消ゆる玉菊の 光は仮りのものながら「死にたくなるねえ、あれを聞くと」「俺もそうだよ、死にたくなるなあ」 ※本来空の明りには「俺には明りなんかありゃアしない」「お聞きなさりませ、黙ってね」 ※|実に燈すべき提灯も「消えっちまえよ!
— 国枝史郎 『任侠二刀流』 青空文庫