青黒
せいこく
名詞
標準
文例 · 用例
水は青黒く濁ってる。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
ともかくもそれを云ってしまうと、それまでひどく緊張してきつい表情をしていた彼の顔が急に柔らかになってくる、そして平生気持の悪いような青黒い顔色には少し赤味さえさして来て、見るから快いような感じに変化するのである。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
」 と紺の鯉口に、おなじ幅広の前掛けした、痩せた、色のやや青黒い、陰気だが律儀らしい、まだ三十六七ぐらいな、五分刈りの男が丁寧に襖際に畏まった。
— 泉鏡花 『眉かくしの霊』 青空文庫
悪くすると青黒くさえ見える意気がある。
— 泉鏡花 『白い下地』 青空文庫
―― パッと消えるようであった、日の光に濃く白かった写真館の二階の硝子窓を開けて、青黒い顔の長い男が、中折帽を被ったまま、戸外へ口をあけて、ぺろりと唇を舐めたのとほとんど同時であったから、窓と、店とで思わず舌の合った形になる。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
しかし、袴は、精巧|平か、博多か、りゅうとして、皆見事で、就中その脊の高い、顔の長い、色は青黒いようだけれども、目鼻立の、上品向きにのっぺりと、且つしおらしいほど口の小形なのが、あまつさえ、長い指で、ちょっとその口元を圧えているのは、特に緞子の袴を着した。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
月光が河の靄に溶けて朦朧として、青黒い連山は躍り上った獣の背のように見え、遠くに漁火がきらめいているかと思うとまたどこからともなく横笛の音が哀れに聞える。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
――青黒い支那兵営の中から四五人の白露兵が歩き出して来た。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫