寝鎮
ねちん
名詞
標準
文例 · 用例
幽寂に造られたる平庭を前に、縁の雨戸は長く続きて、家内は全く寝鎮まりたる気勢なり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
常の時ならばそれが当然であるが、今夜こんなに寝鎮まっているのをお徳はすこし不思議に思いながら、ともかくもそっと戸を叩くと、内では容易に返事がなかった。
— むらさき鯉 『半七捕物帳』 青空文庫
その日もやがて夜となって、夏の温泉場は大抵寝鎮まった午後十二時頃になると、隣りの座敷で女の軽い咳の声がきこえる。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
それらの聞く耳を憚って、四郎兵衛は迂濶にその秘密を明かさないらしかったが、となりの人たちはしゃべり疲れて、宵から早く床に就いたので、その寝鎮まるのを待って、彼は小声で話し出した。
— 岡本綺堂 『恨みの蠑螺』 青空文庫
となり座敷もほとんど同時に寝鎮まった。
— 岡本綺堂 『五色蟹』 青空文庫
家内が寝鎮まっているだけに、その声があたりにひびき渡って、二人の耳を貫くようにきこえた。
— 岡本綺堂 『五色蟹』 青空文庫
その日もやがて夜となって、夏の温泉場も大抵寝鎮まった午後十二時頃になると、隣の座敷で女の軽い咳の声がきこえる。
— 岡本綺堂 『温泉雑記』 青空文庫
) 慶作は出直さうと思つて、逡巡してゐると、寝鎮まつた筈の家の中から、ぱた/\物を叩く音がして折々何か掛声でもするらしい容子がある。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫