真向き
まむき
形容動詞名詞
標準
earnest
文例 · 用例
では真向きの全身――椅子を直すふりして女客は立ち上った。
— ――朝と昼―― 『巴里のキャフェ』 青空文庫
が、真向きの一番広い鏡面は表のマロニエの影で埋まっている。
— ――朝と昼―― 『巴里のキャフェ』 青空文庫
その威厳がかえって貝原を真向きにさせた。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
アメリカ客の卓の真向きに一人の老フランス人が食べていた。
— 岡本かの子 『食魔に贈る』 青空文庫
またそれが、人形に着せたように、しっくりと姿に合って、真向きに直った顔を見よ。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
思考力をすっかり内部へ追い込んでしまったあとの、放漫なかの女の皮膚は、単純に反射的になっていて、湿気た風を真向きに顔へ当てることを嫌う理由だけでも、かの女にこんな動き方をさせた。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
ベッシェール夫人は藤のテーブルの上へ置いた紅茶の瓶口の下についている雫止めのゴム蝶の曲ったのを、一寸直し、濡れた指を手首に挟んだハンカチで拭くとその手をずっと伸して新吉の顎にかけて自分に真向きに向かせる。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫
新吉と夫人が往来に真向きに立ちはだかって互に顔で、おどけ合いながらアイスクリームの麩のコップを横から噛みこわしていると、二人が上って来た坂の下から年若な娘が石畳の上へ濃い影を落しながら上って来た。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫