漉し
こし
名詞
標準
文例 · 用例
盲目なる手引よ、汝らは蚋を漉し出して駱駝を呑むなり。
— 太宰治 『如是我聞』 青空文庫
あいかわらずお達者で……」 役員は狼狽して身を正し、奪うがごとくその味噌漉し帽子を脱げり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
お前さん、中は土間で、腰掛なんか、台があって……一膳めし屋というのが、腰障子の字にも見えるほど、黒い森を、柳すかしに、青く、くぐって、月あかりが、水で一|漉し漉したように映ります。
— 泉鏡花 『開扉一妖帖』 青空文庫
廁は井戸に列してそのあわい遠からず、しかも太く濁りたれば、漉して飲用に供しおれり。
— 泉鏡花 『化銀杏』 青空文庫
いつもは二十銭以上のお買物だから出すけど、今日は茶滓漉しの土瓶の口金一つ七銭のお買物だからお茶は出せないぢやないの」「お茶は四五日前に買ひに来たのを知つてるだろ。
— 岡本かの子 『蔦の門』 青空文庫
神将のB ――して見ると阿難の美しさは感情を攪きまわす器械でお釈迦さまの美しさは感情の水|漉し器械だ。
— 岡本かの子 『阿難と呪術師の娘』 青空文庫
然うしますとね、苦しい中にも、氣が澄むつて言ふんでせう……窓も硝子も透通つて、晴切つた秋の、高い蒼空を、も一つ漉した、それは貴方、海の底と云つて可いか何と申して可いんでせう、寒の月の底へ入つて、白く凍つたやうにも思へます。
— 泉鏡太郎 『淺茅生』 青空文庫
売り勝とう、売り勝とうと、調子を競って、そりゃ高らかな冴えた声で呼び交すのが、空気を漉して井戸の水も澄ますように。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫