損ない
そこない
名詞
標準
文例 · 用例
こういう焼け損ないの餅なんか出す娘はなかなか純なところのある娘なんだろうと思った」 ――あら嘘ばっかり」 ――いや、ほんとうだ」 妻は一たん障子の内がわへ顔を引込めたが、今度は出来上った雑煮の汁を鍋ごと盆の上に載せて夫の居る座敷へ入って来て坐った。
— 岡本かの子 『餅』 青空文庫
金之助は腰をかけたまま、両手で椅子を圧えて卓子に胸を附着けて、「大向うが喝采でない迄も謹んで演劇をする分にゃあ仕損ないが少ないさ、酔っぱらって出懸けてみなさい、他の酔っぱらいと酔っぱらいが違うんだよ。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
そして不幸にもその一方が欠ける時は、残された他の一方が健康を損ない易い例も世に多いことである。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
信を好んで学問を好まなければ、その弊害は条理を弁えず、物事をやり通そうとしては物事を害し身を損ない、自ら破滅を招く、賊とはこれを云う。
— 幸田露伴 『悦楽(現代訳)』 青空文庫
しかし、そうした憂鬱も、『ラバー・ソウル』の素晴らしさをすこしも損ないはしなかった。
— 第1章 ローラーコースター、1966年 『45回転の夏』 青空文庫
「やはり、一種の結論でしょう、な」これは猫八には先に虎のお終いでちょッと言い損ないをしたと思えた、その取り返しのつもりであった。
— 岩野泡鳴 『猫八』 青空文庫
口取に蒲鉾はついてるが、どす黒くて竹輪の出来損ないである。
— 夏目金之助 『坊っちやん』 青空文庫
だからこの手で遣り損ないでもしようものなら、生涯自分の価値を落す事になる。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫