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裾濃

すそご
名詞
1
標準
文例 · 用例
信玄の嫡子、太郎義信は時に二十四歳、武田菱の金具|竜頭の兜を冠り、紫|裾濃の鎧を着、青毛の駿馬に跨って旗本をたすけて、奮戦したことは有名である。
菊池寛 川中島合戦 青空文庫
このねつたいを衆人環視の中ではばからずに言える源太、緋縅か紫裾濃かは知らぬが、ともかくも一方の大将として美々しい鎧兜に威儀を正しながら、地位だの格式だのとけちけちした不純物にいささかもわずらわされることなく平気で天真を流露させることのできる源太。
伊丹万作 余裕のことなど 青空文庫
桐原駒に沃懸地の鞍、萠黄縅に紅裾濃、桃形兜に白の母衣、この武士も悠々と通ったが、「名古屋の前司候うなり、美福門はわが手にて攻める、余人かならず手出し給うな」 と、颯爽と宣って通りすぎた。
国枝史郎 あさひの鎧 青空文庫
寄せ手の軍勢は固唾を呑み、憐れ憐れと見ている時、城の大手の門を開けて駈け出したる武者一騎、鍬形打った冑をつけ、紫裾濃の鎧を着て、大身の槍を打ち振り打ち振り、大軍の中に駈け入ったが、四角八面に突いて廻わり、身に受けし傷に流れる血。
国枝史郎 蔦葛木曽棧 青空文庫
車の中の人は見えないが、紅の裾濃に染めた、すずしの下簾が、町すじの荒涼としているだけに、ひときわ目に立ってなまめかしい。
芥川龍之介 偸盗 青空文庫
時に彼、年二十七歳、赤地の錦の直垂に、紫裾濃の鎧を重ね、鍬形の兜に黄金づくりの太刀、鴎尻に佩き反らせたる、誠に皎として、玉樹の風前に臨むが如し。
芥川龍之介 木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌) 青空文庫
浮世を忍ぶ旅路なればにや、一人は深編笠に面を隱して、顏容知るに由なけれども、其の裝束は世の常ならず、古錦襴の下衣に、紅梅萌黄の浮文に張裏したる狩衣を着け、紫裾濃の袴腰、横幅廣く結ひ下げて、平塵の細鞘、優に下げ、摺皮の踏皮に同じ色の行纏穿ちしは、何れ由緒ある人の公達と思はれたり。
高山樗牛 瀧口入道 青空文庫
御岳神社に納められたる、いま国宝の一つに数えられている紫裾濃の甲冑は、これも在来は日本武尊の御鎧と伝えられたもので、実は後宇多天皇の弘安四年に蒙古退治の御祈願に添えて奉納されたものだそうです。
甲源一刀流の巻 大菩薩峠 青空文庫