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濡つ

そぼつ
動詞
1
標準
文例 · 用例
一同が順々に京子の脣へ水を濡つてから、顏へ白い片布を掛け、白い屏風を立て廻らして、枕元の小机には、水と鹽と洗米とを盛つた土器を置き、細い燈明の火がチラ/\してゐた。
上司小劍 天滿宮 青空文庫
あさみにや人は下り立つわが方は身もそぼつまで深きこひぢをこの返事を口ずから申さないで、筆をかりてしますことはどれほど苦痛なことだかしれません。
源氏物語 青空文庫
蛞蝓何知らず空はかなしび、鈍いろのまぶしたるみてしのび音に日ぞ泣きそぼつ
薄田泣菫 泣菫詩抄 青空文庫
薄暗い庭の片隅に、紫陽花が花も葉もぐしよ濡れに濡れそぼつて立つてゐるのが見えます。
薄田泣菫 雨の日に香を燻く 青空文庫
そして深い雨霧が街路灯に薄黄色い円を描く夜明けの街や、野菜や真桑瓜売りの荷車が雑沓する市場や、静かに濡れそぼつ大同江の船着場などをとぼとぼ徨い歩いた。
金史良 土城廊 青空文庫
風吹けばそよぎ、雨ふればそれなり濡れそぼたれた女主人公の姿が、今は、眼の隅で周囲を細大洩らさず見とおしながら、そのようにそよぎ、濡れそぼつことからさえ依估地に身をひく一人の老人に代ったとすれば、それはどういう現代の心理の徴候と見るべきだろう。
宮本百合子 作品の主人公と心理の翳 青空文庫
本殿のところに腰かけてみていれば、降りそぼつ雨にうたれて、お百度をふんでいる人さえある。
宮本百合子 琴平 青空文庫
私は冷たい冬雨の降りそぼつ中をも厭わず、また田舎から京都に出て来た。
近松秋江 狂乱 青空文庫
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