ずしり
ずしり
副詞
標準
文例 · 用例
間の岳(赤石山脈)の支峰だと晃平のいう蝙蝠岳は、西の空に聳えて、朝起きの頭へ、ずしりと重石を圧えつける。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
」 法師も言葉なく見送るうち、沖から来るか、途絶えては、ずしりと崖を打つ音が、松風と行違いに、向うの山に三度ばかり浪の調べを通わすほどに、紅白|段々の洋傘は、小さく鞠のようになって、人の頭が入交ぜに、空へ突きながら行くかと見えて、一条道のそこまでは一軒の苫屋もない、彼方大崩壊の腰を、点々。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
吹矢の店から送って来た女はと、中段からちょっと見ると、両膝をずしりと、そこに居た奴の背後へ火鉢を離れて、俯向いて坐った。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
中へ何を入れたか、だふりとして、ずしりと重量を溢まして、筵の上に仇光りの陰気な光沢を持った鼠色のその革鞄には、以来、大海鼠に手が生えて胸へ乗かかる夢を見て魘された。
— 泉鏡花 『革鞄の怪』 青空文庫
ずしりと、卓子の上に置くと、……先生は一足|退って、起立の形で、(もはや、お二方に対しましては、……御夫婦に向いましては、立って身を支えるにも堪えません、一刻も早くこの人畜の行為に対する、御制裁を待ちます。
— 泉鏡花 『唄立山心中一曲』 青空文庫
薄氷を踏むような吉田の呼吸がにわかにずしりと重くなった。
— 梶井基次郎 『のんきな患者』 青空文庫
私は、「悲歌」を理解するために、「オルフォイスへ捧ぐるソネット」――それは少くとも同じほどずしりとした重みがあり、同じ要素で充たされてゐます――があなたにとつて大きな補助となつてゐないといふ事がいかにも不審に思はれます。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『ドゥイノ悲歌』 青空文庫
幾鉢も幾鉢も二三本の茎を延ばして、細いしなやかな尖端に、ずしりと重いような太い輪廓の花を咲かしていた。
— 岡本かの子 『真夏の幻覚』 青空文庫