雪路
せつろ
名詞
標準
文例 · 用例
晝間になつて日が照り出すと、人の往來する所だけはどろ/\に雪解がして、泥炭地の水のやうな黒褐色の水が盤に踏み固められた雪路の上を逃げ所もなく漂ひ※る。
— 有島武郎 『春』 青空文庫
雪靴をはいて、雪路を歩いている私の姿は、まさに田舎者そのものである。
— 太宰治 『十五年間』 青空文庫
幸に風が無く、雪路に譬ひ山中でも、然までには寒くない、踏みしめるに力の入るだけ、却つて汗するばかりであつたが、裾も袂も硬ばるやうに、ぞつと寒さが身に迫ると、山々の影がさして、忽ち暮なむとする景色。
— 泉鏡花 『雪の翼』 青空文庫
余り可懐しさに、うっかり雪路を上ったわ。
— 泉鏡花 『第二菎蒻本』 青空文庫
畠二三枚、つい近い、前畷の夜の雪路を、狸が葬式を真似るように、陰々と火がともれて、人影のざわざわと通り過ぎたのは――真中に戸板を舁いていた。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
二人は雪路を歩きながら、格別なんの会話も無い。
— 太宰治 『チャンス』 青空文庫
同一色なのが、何となく、戸棚の蔽に、ふわりと中だるみがしつつも続いて、峠の雪路のように、天井裏まで見上げさせる。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫
雪路以上、随分へとへとに揉抜いたから。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫