巨刹
きょさつ
名詞
標準
large temple
文例 · 用例
巨刹の石段の前に立留まって、その出て来るのを待ち合せた。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
陸近なれば憂慮いもなく、ただ景色の好さに、ああまで恐ろしかった婆の家、巨刹の藪がそこと思う灘を、いつ漕ぎ抜けたか忘れていたのに、何を考え出して、また今の厭な年寄。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
――町の東と西とに分れて、城の櫓と、巨刹の棟が見える。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
畑中の坂の中途から、巨刹の峰におわす大観音に詣でる広い道が、松の中を上りになる山懐を高く蜒って、枯草葉の径が細く分れて、立札の道しるべ。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫
が、この川を向うへ渡つて、大な材木堀を一つ越せば、淨心寺――靈巖寺の巨刹名山がある。
— 泉鏡太郎 『深川淺景』 青空文庫
この日の大火は、物見の松と差向う、市の高台の野にあった、本願寺末寺の巨刹の本堂床下から炎を上げた怪し火で、ただ三時が間に市の約全部を焼払った。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
巨刹あり、誕生寺といふ。
— 大町桂月 『房州の一夏』 青空文庫
私達は既に益田の方で萬壽年中の大海嘯のことを聞き、あの萬福寺の前身にあたるといふ天台宗の巨刹安福寺すら、堂宇のすべてが流失したことを聞いて來た。
— 島崎藤村 『山陰土産』 青空文庫