心窩
しんか
名詞
標準
文例 · 用例
今一度 かの日の熱望と光明とを わが心窩の壇上にとぼし給え 傲り驕った望みと云わば云え 今こそ繩縛の身であっても わたくしは 一燈の聖火を 芸術の祭壇に捧げずには わが命を終るまい所存なのだ 憂鬱に心を閉されるのを感じ、私は一日椅子によって種々な書籍を漁った。
— 一九二三年(大正十二年) 『日記』 青空文庫
然し、最後になおちょっと元気をつけておいてやる必要もあるし、心窩のあたりを擽ってやりたくもなったので――眠いんですか、それとも、瞼が重たいんですか。
— ――「小悪魔の記録」―― 『女と帽子』 青空文庫
俺も柄になくしんみりした気持になって、波江の心にちょっとふれてみたく、その心窩を擽ってやったのである。
— ――「小悪魔の記録」―― 『女と帽子』 青空文庫
おこりはじめには、胸のある一點、心窩の下かあるいはも少しうえの邊に、まだ鈍く大して強くはないが、それでいて妙に神經にさわる壓迫感が、わだかまるような感じである。
— ドストエーフスキイ 『永遠の夫』 青空文庫
欠伸をしたり、心窩を握拳で叩いたりして、その激しさを訴える。
— POIL DE CAROTTE 『にんじん』 青空文庫
二十日 薄曇後晴昨夜八時頃心窩部より胸骨背面に亙って、苦悶感が三十分位つゞく。
— 谷崎潤一郎 『瘋癲老人日記』 青空文庫
いやそれよりもはやく、豹子頭のその青額が、低くどんと、彼の心窩の辺へぶつかって来た。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫