恍惚感
こうこつかん
名詞
標準
文例 · 用例
こういう一種の恍惚感に浸って私はまた、茶店の美少年の前を手を振って通り、家の中二階へ戻る。
— 岡本かの子 『桃のある風景』 青空文庫
彼女は彼女が我儘をすればする程彼女の美しさを発揮するのだ………道は道なき処に却って有るのではないか、彼女の如く拘束なき処に真の生命の恍惚感が有るのではなかろうか……。
— 岡本かの子 『荘子』 青空文庫
彼に取っては迷惑千万な宗教問題を得たり賢しと自分に引取って面白くもない自己吹聴を並べたてる回々教徒の女の誇張した恍惚感の説明や排他的な語気は、たとえ相客が表面無礼を感ぜぬように装って居るにしても主人側から見て英国人のサロンの空気をにがにがしくするように思った。
— 岡本かの子 『ガルスワーシーの家』 青空文庫
令嬢と私との間に沸騰している恍惚感であった。
— 佐左木俊郎 『三稜鏡』 青空文庫
そして私と令嬢との間には、お互いがそれを言葉では云わないだけに、恋愛者同士の恍惚感が次第に激しく沸騰して来るのであった。
— 佐左木俊郎 『三稜鏡』 青空文庫
併し、博士の令嬢との間に沸立っている恍惚感が、矢張、何うしても未練になるのであった。
— 佐左木俊郎 『三稜鏡』 青空文庫
彼の全身はその婦人の指の恍惚感に沸騰した。
— 佐左木俊郎 『指と指環』 青空文庫
『やい、ナポレオンの立像奴、貴様の運命は、俺の手の中にあるんだ、家へ帰つて俺は貴様を鋳潰してやらうわい』 金の立像を抱へて昇降機にのつたが、その下降につれて陶然と掏摸といふ職業的な恍惚感にひたつた。
— 小説 『小熊秀雄全集−15−』 青空文庫