寺房
じぼう
名詞
標準
文例 · 用例
「あっ、父上だ」 どこに遊んでいたのか、目ばやく父の姿を見つけた多聞丸(後の正行)は、小さい弟と一しょに、もう迅い後ろ姿をみせて、彼方の寺房のぬれ縁へ大声を放ちながら駈けて行った。
— 千早帖 『私本太平記』 青空文庫
すると、井の辺りで、喰べられる雑草を選りわけたり、それを交ぜて稗餅についていた女衆の間から、あわてて久子だけが抜けて寺房の厨へ隠れた。
— 千早帖 『私本太平記』 青空文庫
寺房の奥では、勤行の鐘の音がしているし、寺門に近い表のほうでは厩の馬がいなないていた。
— 吉川英治 『黒田如水』 青空文庫
親類も貧乏だったろうし、しつけとか、こらしめの意味もふくめて、それからすぐ丈之助は、小田原から数里奥の道了さまと俗にいう山の寺房へ寺小姓にやられてしまった。
— ――四半自叙伝―― 『忘れ残りの記』 青空文庫
少年時代を道了権現の寺房で送ったお蔭だよとよく云っていた。
— ――四半自叙伝―― 『忘れ残りの記』 青空文庫