窒
窒
名詞
標準
文例 · 用例
蝶ヶ岳から短沢へ下りて来た自分は、先ずこの清い流れに嗽ぎもし、頭も洗い、顔も拭いた、気が遠くなるような悪臭の蕕草を掻き分けたことや、自分の肩から上を気圏のように繞ぐっていた蚋の幾十|陣団やに窒息するかと苦しんだことも、夢の谷へ下りては、夢のように消えて、水音は清々しい。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
われわれはしけの場合は、ことにオゾーンが多いにもかかわらず、ほとんど窒息死の瀬戸ぎわまで眠る。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
哀れな彼女らは、フォーアピークの中で、窒息して死んでしまったほどにも、我慢しなければならなかった、彼女らはビール箱の中で五昼夜も、いいようのない状態で、半死のどたん場まで我慢しなければならなかった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
彼らはこうして、ダンブルの中で土蜂のような作業に従って、窒息しそうな苦痛をなめている時に、その境涯をうらやんでいるものさえあった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
私は話を聞いて、窒息しそうになった。
— 太宰治 『東京八景』 青空文庫
という期待と、ああ、現われたら困る、どうしようという恐怖と、でも現われた時には仕方が無い、その人に私のいのちを差し上げよう、私の運がその時きまってしまうのだというような、あきらめに似た覚悟と、その他さまざまのけしからぬ空想などが、異様にからみ合って、胸が一ぱいになり窒息するほどくるしくなります。
— 太宰治 『待つ』 青空文庫
あまりの気取りに、窒息、眩暈をさえ生じたという。
— 太宰治 『八十八夜』 青空文庫
秋の朝顔も、コスモスと同じくらいに私を瞬時窒息させます。
— 太宰治 『ア、秋』 青空文庫