手掴み
てづかみ
名詞
標準
文例 · 用例
そんなはけ口のない情慾を紛らすために、僕らは牛肉屋へ行って酒をあおり、肉を手掴みにして壁に投げつけたり、デタラメの詩吟を唄って、往来を大声で怒鳴り歩いたりした。
— 萩原朔太郎 『老年と人生』 青空文庫
そして、洋服の内がくしから二三枚の紙幣を拔き出すと、手掴みのまま女の前に差しつけた。
— 南部修太郎 『ハルピンの一夜』 青空文庫
「処で、一刻も疾く仕上げにしやうと思ふから、飯も手掴みで、水で嚥下す勢、目を据えて働くので、日も時間も、殆んど昼夜の見境はない。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
漁師たちは手網や手掴みで四斗|樽に一ぱい半ほどの魚を漁り、網を外ずして去りました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
大な獲もの袋と、小革鞄と一所に、片手掴みに引下したのは革紐の魔法罎。
— 泉鏡太郎 『魔法罎』 青空文庫
さて通口に組違へて、角のない千兩箱を積重ねた留桶を、片手掴みで、水船から掬出しては、つかり加減な處を狙つて十杯ばかり立續けにざぶ/\と打ちまける。
— 泉鏡太郎 『錢湯』 青空文庫
渠はそのへんを泳いでいた魚類を五、六尾|手掴みにしてむしゃむしゃ頬張り、さて、腰に提げた瓢の酒を喇叭飲みにした。
— 中島敦 『悟浄出世』 青空文庫
さすがに田舎は気持がよい、手掴みで米を出すやうな人もなく、逢ふ人はみな会釈する、こちらが恥づかしくなるほどだ。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫