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鋳出

いで
名詞
1
標準
文例 · 用例
翌晩も、また翌晩も、連夜の事できっと時刻を違えず、その緑青で鋳出したような、蒼い女が遣って参り、例の孤家へ連れ出すのだそうでありますが、口頭ばかりで思い切らない、不埒な奴、引摺りな阿魔めと、果は憤りを発して打ち打擲を続けるのだそうでございまして。
泉鏡花 湯女の魂 青空文庫
さういふ時爺いさんは紋に Constantia et fidelitas といふラテン語の鋳出してある、銀の控鈕の附いてゐる、古い、地の悪くなつたリフレエ服を着て、痛風で曲がつた指に、寛い白麻の手袋を嵌めて出て来る。
DAS FAMILIENFEST 祭日 青空文庫
面赭く、耳|蒼く、馬ばかりなる大きさのもの、手足に汚れた薄樺色の産毛のようで、房々として柔かに長い毛が一面の生いて、人か獣かを見分かぬが、朦朧としてただ霧を束ねて鋳出したよう。
泉鏡花 黒百合 青空文庫
や、また塗った塗った、その顔は何だい、まるで白粉で鋳出したようだ。
泉鏡花 貧民倶楽部 青空文庫
典書書体と呼ばれるこのタイプの活字を用意するにあたって、グーテンベルクはアルファベットそれぞれの大文字と小文字を鋳出すだけですませてはいません。
富田倫生 本の未来 青空文庫
使いをやって正金銀行で換えた金貨は今|鋳出されたような光を放って懐中の底にころがっていたが、それをどうする事もできなかった。
有島武郎 或る女 青空文庫
敬太郎は始めてこれが看板に「文銭占ない」とある文銭なるものだろうと推察したが、さてこの九枚の文銭が、暗い中で自分を操っている運命の糸と、どんな関係を有っているか、固より想像し得るはずがないので、ただそこに鋳出された模様と、それがしまってあった袋とを見比べるだけで、何事も云わずにいた。
夏目漱石 彼岸過迄 青空文庫
これには怖ろしき夜叉の顔が隙間もなく鋳出されている。
夏目漱石 幻影の盾 青空文庫