錺屋
錺屋
名詞
標準
文例 · 用例
錺屋、錺職をもって安んじているのだから、丼に蝦蟇口を突込んで、印半纏で可さそうな処を、この男にして妙な事には、古背広にゲエトルをしめ、草鞋穿で、鏨、鉄鎚の幾挺か、安革鞄で斜にかけ、どうかするとヘルメット帽などを頂き、繻子の大洋傘をついて山野を渡る。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫
柴山運八といって、近常さんと同業、錺屋さんだけれども、これは美術家で、そのお父さんというのが以前後藤彫で、近常さんのお師匠さんなんですって。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
金銀細工は錺屋の職ですが、これも普通の錺屋には出来ない芸です。
— 夜叉神堂 『半七捕物帳』 青空文庫
「おい、錺屋の豊というのはお前か」「そうでございます」と、豊吉はおとなしく答えた。
— 雪達磨 『半七捕物帳』 青空文庫
辻倉の若い者に訊いたら、ここのおかみさんを乗せて行った先は、本所のももんじい屋の近所の錺屋だそうですよ」 ゆく先が錺屋というので、彼は大いに意気込んでいるらしいが、今の半七の考えはもう違っていた。
— 金の蝋燭 『半七捕物帳』 青空文庫
それが五年前の出来事であるにもせよ、金蔵やぶりと無関係であるにもせよ、進んでその秘密を発かなければならないと思うにつけて、金の蝋燭と錺屋、そこに離るべからざる連絡を見いだしたのを喜んだ。
— 金の蝋燭 『半七捕物帳』 青空文庫
「おい、本所から来る増さんというのは、錺屋かえ」「はい。
— 金の蝋燭 『半七捕物帳』 青空文庫
錺屋さんだそうでございます」「なんの用で来るのか知らねえか」「やっぱりお金を借りに来るようです」「この女じゃあ埒が明きますめえ」と、幸次郎は催促するように云った。
— 金の蝋燭 『半七捕物帳』 青空文庫