犬牙
けんが
名詞
標準
文例 · 用例
その車は外を青「ペンキ」にて塗りたる木の箱にて、中に乗りし十二人の客は肩腰相触れて、膝は犬牙のように交錯す。
— 森鴎外 『みちの記』 青空文庫
大名の取締りは最も重要問題だが、徳川氏の一族たる親藩と、関ヶ原役以前から家臣であつた譜代と、関ヶ原までは徳川の朋輩であつた外様とを、大小親疎に従つて、その領土を犬牙錯綜させて配置し、牽制の妙を極めたのである。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫
あるいはよし、しかることなきももし強大にしてかつ武備的の国とその境界|犬牙相接する場合においては我つねに戒厳するところあらざるべからず。
— 徳富蘇峰 『将来の日本』 青空文庫
露独の関係は犬牙相接するがためなり。
— 徳富蘇峰 『将来の日本』 青空文庫
ちょうど、胴と脚の附け根のような地形に、今川家の勢力は犬牙のように深く蝕い入って、沓掛、大高の二城をつなぎ、織田領の脚部をそこで切断した形になっていた。
— 第二分冊 『新書太閤記』 青空文庫
しかも、彼には人後に陥ちない狡才があり、高家の職能は、時により、老中も大名も、ちぢみ上がらすことのできる犬牙にもなるのだ。
— 吉川英治 『新編忠臣蔵』 青空文庫
見れば、面は蟹の如く、犬牙は白く唇をかみ、髪髯赤く巻きちぢれて、見るから怖ろしい相貌をしているが、平常はむッつりとあまりものをいわない質の文醜であった。
— 臣道の巻 『三国志』 青空文庫
河港の入口に、猛兵を左右にしたがえ、駒を立てていた豹眉犬牙の荒武者がある。
— 孔明の巻 『三国志』 青空文庫