余憤
よふん
名詞
標準
pent-up anger
文例 · 用例
「うっちゃって置いてくれたまえ、自分で拭くから」と私は声をかけた「そうかなも、気の強いお子はんやなも」 二階には上ったが、隆太郎|余憤が晴れないと見えて、窓の障子紙をぴりぴりぴりと裂き初める。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
彼は何の余憤もなく、美しい温泉に近頃稍健康色をとり戻したとは云ふものゝ、眺めるだに貧弱な鉛筆のやうな手足を浮べた。
— 牧野信一 『好色夢』 青空文庫
彼の父は、今迄多くの事業で失敗し、未だ余憤が消えてゐなかつた為か、忽ち形もなひ製薬株式会社の社長になつたり、東北銀行創立、専務取締役になつたりした。
— 牧野信一 『「悪」の同意語』 青空文庫
が、ここで彼の怒りをもらすことは、自分が議論に負けた余憤をもらすように解釈されることの恐れがあったので、彼は激しい一|瞥を残したまま、ものをもいわずに出て行ってしまった。
— 菊池寛 『ゼラール中尉』 青空文庫
しかし、今もなおこの幕臣の髷の中には、旗本柔弱なりと叱られたそのときの余憤がこもっているのか、わけても太い奴を横ざしにぶっ差して、目の光りのうちにも、苛々とした反抗のいろが強かった。
— 佐々木味津三 『山県有朋の靴』 青空文庫
だから私は、おそらくあの時は、私が狼狽をした姿を見て鶴井と倉が嗤ひの目配せを浮べたことに、たゞそれだけの感じに不快を覚えた妻君は、余憤を私にのみ向けたのであらうと私は推察した。
— 牧野信一 『心象風景(続篇)』 青空文庫
法要も何もあつたものではない――と、私は偽善者流の母の言葉と、偽悪者流の自分の余憤とを戦はせるのだが、人倫の仮面の善悪を見棄て、たゞに人間としての親と子の間に介在する絶対の因果は、怕ろしく、嘆かはしく、たゞ簡明であつて、道徳や潔癖のまゝに何も彼も振り棄てる道はなかつた。
— 牧野信一 『剥製』 青空文庫
その口論の余勢と余憤とで、彼はそれ迄思ひ惑うてゐたところの父を取り入れた第一の短篇を書いたのだ。
— 牧野信一 『父を売る子』 青空文庫
作例 · 標準
彼は不正に対して余憤を抱き続けていた。
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長年の不満が、彼女の心に余憤として残っていた。
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余憤を晴らすため、彼は厳しいトレーニングに打ち込んだ。
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