虫声
むしごえ
名詞
標準
文例 · 用例
しかしそれでゐて何か或る頑丈な逞しい姿勢の影に、微かな虫声に似た優しいセンチメントを感じさせる。
— 俳人としての芥川龍之介と室生犀星 『小説家の俳句』 青空文庫
九月十九日――「朝、空曇り風死す、冷霧寒露、虫声しげし、天地の心なお目さめぬがごとし」同二十一日――「秋天|拭うがごとし、木葉火のごとくかがやく」十月十九日――「月明らかに林影黒し」同二十五日――「朝は霧深く、午後は晴る、夜に入りて雲の絶間の月さゆ。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
いつのまにやら道をまちがへてゐたが、――それがかへつてよかつた――山また山、青葉に青葉、分け入るといつた感じだつた、蛙声、水声、虫声、鳥声、そして栗の花、萱の花、茨の花、十薬の花、うつぎの花、――しづかな、しめやかな道だつた。
— 伊佐行乞 『行乞記』 青空文庫
欽明寺峠は峠としては何でもないが何しろ長い、秋草、虫声がよかつた、萩の老木は口惜しいほど欲しかつた。
— 広島・尾道 『行乞記』 青空文庫
ねむれない、ねむれない、雨声を聴く、虫声に耳傾ける、そしてとろ/\とすれば、何といふ夢だ!
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
夜中に眼が覚めて、雨声虫声の階調を傾聴した。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
夜明けの虫声はしみじみとしたものだ。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
早起、――虫声、鶏声、そして鐘声。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫