沁
沁
名詞
標準
文例 · 用例
こうした寂しい老人や老婦人らが、養老院の一室で骨牌をしながら、互に慰め合ってる異国風景を、外国映画のスクリンで見る時ほど、西洋という国の悲しさと味気なさを、沁々と思わせることはないのである。
— 萩原朔太郎 『老年と人生』 青空文庫
自ら稱して「人類史以來の天才」と傲語したニイチエが、これはまた何と悲しく、痛痛しさの眼に沁みる言葉であらう。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
人生の薄暮をさ迷ひ歩いて、物靜かな日陰の小路に、さうした侘しい神神の祠を見る時ほど、人間生活のいぢらしさ、悲しさ、果敢なさ、生の苦しさを、侘しく沁沁と思はせることはないのである。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
そして満月に近い空の月を沁々と眺め入つた。
— 萩原朔太郎 『月の詩情』 青空文庫
何等かそこには、しっくりとして心に沁み、胸線の秘密にふれ、深い詩情の浪を呼び起してくるようなもの、即ち音律としての「美」がなければならない。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
自ら称して「人類史以来の天才」と傲語したニイチエが、これはまた何と悲しく、痛痛しさの眼に沁みる言葉であらう。
— 萩原朔太郎 『散文詩集『田舎の時計 他十二篇』』 青空文庫
私の故郷|上州には、こうした荒寥たる田舎が多く、とりわけこの句の情感が、身に沁みて強く感じられる。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
「侘び」とは、前にも他の句解で述べた通り、人間生活の寂しさや悲しさを、主観の心境の底で噛みしめながら、これを対照の自然に映して、そこに或る沁々とした心の家郷を見出すことである。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫