寝足
ねあし
名詞
標準
文例 · 用例
疲れが深い眠を引き、先刻ひと寝入りで寝足りた小田島は再びベッドに横になっても眠くはなかった。
— 岡本かの子 『ドーヴィル物語』 青空文庫
私はどんなに寝足りた時でも、眼をさましてから半時間、時に一時間も二時間も、寝床の中でぐずついている癖がなおらない。
— 織田作之助 『中毒』 青空文庫
朝起きて啜る渋茶に立つ煙りの寝足らぬ夢の尾を曳くように感ぜらるる。
— 夏目漱石 『倫敦塔』 青空文庫
僕は寝足らない頭を枕の上に着けて、夢とも思索とも名のつかない路を辿りながら、時々別種の人間を偸み見るような好奇心をもって、叔父の寝顔を眺めた。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
宿へ帰って、午前三時頃から疲れて眠って、あくる朝の六時頃、洗面器を裏手の畑へ持ち出して、寝足らない顔を洗っていると、昨夜来わたしを苦しめていた下歯一枚がぽろりと抜け落ちた。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
寝足らない眼に沁みる朝の空気は無数の針を含んでいるようで、店の前の打ち水も白い氷になっていた。
— 岡本綺堂 『箕輪心中』 青空文庫
十六 朝起きて膳に向った時見ると、四人はことごとく寝足らない顔をしていた。
— 夏目漱石 『行人』 青空文庫
そうして四人ともその寝足らない雲を膳の上に打ちひろげてわざと会話を陰気にしているらしかった。
— 夏目漱石 『行人』 青空文庫