掻傷
掻傷
名詞
標準
文例 · 用例
それからだけでも、この無数の片々が、以前玉幡の衣だった事は明らかであるけれども、一方、金泥の上には踏んだ跡がなく、曼陀羅の肌にも掻傷一つないと云う始末だった。
— 小栗虫太郎 『夢殿殺人事件』 青空文庫
ことしの秋はいつもより顆の大きな果実を数多く結んだが、それが熟する頃になると、採る実のうちでも肉付のゆたかな、味の甘さうなのは、いづれも頭を噛られてゐるか、またはちよつとした掻傷らしい痕を残されてゐるので、何者のいたづらだらうかとは、長い間の謎だつた。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
血海の中に冷く光っているガラス瓶の欠片でつけたものであろう、顔から頭へかけて物凄い掻傷が煮凝のような血を吹き、わけても正視に堪えぬのは、前額から頭蓋へかけてバックリ開いた大穴から、なんと脳味噌が抜きとられて頭の中は空っぽだ。
— 大阪圭吉 『三狂人』 青空文庫
彼の顏面には物凄い掻傷と打撲傷とがあり或恐ろしい長時間の爭鬪をやつた跡を顯はしてゐた。
— VIOLENT CREMATION 『無法な火葬』 青空文庫
その爪の一つで、カイミアラはビレラフォンの肩先に深い掻傷を負わせ、ほかの爪で、ペガッサスの左の翼を少し傷つけました。
— A WONDER BOOK FOR BOYS AND GIRLS 『ワンダ・ブック――少年・少女のために――』 青空文庫
非常な掻傷を受けた。
— LES MISERABLES 『レ・ミゼラブル』 青空文庫
無帽、ぼろぼろの服、引っ掻傷で血まみれの顔面、懐中電灯はなくなっていた。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『時間からの影』 青空文庫