縄帯
なわおび
名詞
標準
文例 · 用例
私は変人に非ず 先月号の小説新潮の、文壇「話の泉」の会で、私は変人だと云うことになっているし、なにか縄帯でも締めているように思われている。
— 太宰治 『わが半生を語る』 青空文庫
縄帯をしめしめ当もなく小走りにあるいてる若者もあつた。
— 平出修 『夜烏』 青空文庫
そしてトルストイが使ひ馴れた草刈鎌でも捜すやうに、腰のあたりへ手をやつたが、そこには縄帯の代りに、メリンスの兵児帯がちよこなんと結んであつた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
伊達巻姿や、時とすると縄帯姿の、すこぶるだらしのないのもある。
— 大杉栄 『続獄中記』 青空文庫
父有リ、児ヲ携フ者アリ妓ヲ伴フ者アリ、鮮帽美服官吏ノ如キモノ有リ、布褐縄帯乞丐ノ如キ者アリ。
— 成島柳北 『他山の石』 青空文庫
横山所長は、釜石鉱山をものにするまでに、座敷牢へ入れて止められたほどの苦労をして来て、くされ半纒に縄帯ひとつで、鉱夫と一緒になって働いた人であるし、夫人は夫を信頼して、狐狸の住家だった廃鉱の山へ来たという、東京生まれの女性であっただけに、大変あたしを愛しんでくれた。
— 長谷川時雨 『渡りきらぬ橋』 青空文庫
県役署の私宅にもどると、白い浄衣に着かえ、麻の縄帯を締め、その内懐へは鋭利な短剣一振りを秘していた。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
棟梁どもまでが、共に必死に働いたとみえ、縄帯やら縄襷をかけ、泥まみれの手足を大地へ抛り出して、工事がすむと同時に、そこで寝ていた。
— 第二分冊 『新書太閤記』 青空文庫