紙筆
しひつ
名詞
標準
pen and paper
文例 · 用例
うつし世のうつしごとの上では満足出来ず、さればとて死を越えては、いよいよ便りを得さうも無い欲情――わづかにそれを紙筆の上に夢にのみ描いて、そのあとを形にとどめて来た。
— 岡本かの子 『上田秋成の晩年』 青空文庫
宋主が寂照を見たまうに及びて、我が日本の事を問いたもうたので、寂照は紙筆を請いて、我が神聖なる国体、優美なる民俗を答え叙べた。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
併し凝る氣で從事するものは、其の絹紙筆墨を費すや甚大甚夥なるも、畢に繋がれたる馬の一つの柱を遶り、籠められたる猿の六つの窗に忙しげなると同樣に、何の進境をも示さぬものである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
「よし、それでは供をさせよう」 吏員の一人は紙筆を操って※の前へ置いた。
— 田中貢太郎 『令狐生冥夢録』 青空文庫
我には紙筆を與へて畫の稽古せよと勸め、又折もあらば迎へに來て、フラア・マルチノ、マリウチア其外の人々に逢はせばやと契りおきぬ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
葛飲み畢り、命じて紙筆を取らしめ、ために某月某日某人、某の物若干を染むと疏すること、およそ数百条、書くところの月日姓氏、名色丈尺、毫髪の差なし、民持ち帰り、物主を呼び、読んでもってこれを示すに、みな頭を叩いて駭き伏す」と。
— 南方熊楠 『失うた帳面を記憶力で書き復した人』 青空文庫
すなわち酒屋で紙筆を借り、その貌を図し、立ちん坊連に示すと誰某と判り、その者の家に尋ねて行李を得たそうだ(『郷土研究』一巻九号、拙文「今昔物語の研究」)。
— 猪に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
幾何かの持越と先月分の俸給十三円、その内から下宿料や紙筆油などの雑用の払ひを済まし、今日反物を買つて来て、まだ五円許りは残つてるのである。
— 石川啄木 『鳥影』 青空文庫
作例 · 標準
デジタル全盛の時代にあっても、彼は常に紙筆を携帯し、アイデアを書き留める。
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かつての文豪たちは、限られた紙筆を駆使して不朽の名作を生み出してきた。
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監獄の中にあっても、彼は密かに手に入れた紙筆で日記を綴り続けた。
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