木椀
もくわん
名詞
標準
文例 · 用例
祖母は台所の方に駆け去ったがすぐにまた戻って来て、下男用の縁のかけた木椀を一つ私の懐にねじ込んだ。
— ――獄中手記―― 『何が私をこうさせたか』 青空文庫
今や私の頼るべきものはただ、祖母が私の懐にねじ込んだ欠けた木椀一つである。
— ――獄中手記―― 『何が私をこうさせたか』 青空文庫
岩小屋に置いたもの、米五合、コッヘル、燃缶五個、木椀二個、スプーン、フォーク、地図、その他小物。
— 松濤明 『槍ガ岳』 青空文庫
ヤクの皮でつくったしなやかな半長靴を穿いているが、上端のほうが大きくできていて、煙管、煙草容れ、茶筒、木椀など、なにもかもみなそこへおさまってしまう。
— 久生十蘭 『新西遊記』 青空文庫
木皿に盛った蒸パンに野菜を添えた簡素な朝飯をハムレットは手掴みでやり、汚れた指先を木椀の水で濯ぎ、その水を飲みほしてナフキンで丹念に唇を拭うと、これで朝の食事が終ります。
— 久生十蘭 『ハムレット』 青空文庫
修学僧侶の財産 そういう人の室内に行くと、その財産としては羊の皮と木椀一つ、数珠一つに見すぼらしい敷物一枚。
— 河口慧海 『チベット旅行記』 青空文庫
彼等は手や、木椀や、帽子などを差し出して、ヤンが應揚な氣高い風で、またゴオドが愛くるしい王妃のやうな微笑を浮べて、投げてやる施物を取つた。
— PECHEURS D'ISLANDE 『氷島の漁夫』 青空文庫