思いもかけない
おもいもかけない
表現形容詞
標準
unexpected
文例 · 用例
しかし、逆説的に聞えるかもしれないが、その同じ颱風はまた思いもかけない遠い国土と日本とを結び付ける役目をつとめたかもしれない、というのは、この颱風のおかげで南洋方面や日本海の対岸あたりから意外な珍客が珍奇な文化を齎して漂着したことがしばしばあったらしいということが歴史の記録から想像されるからである。
— 寺田寅彦 『颱風雑俎』 青空文庫
九月二日 曇 朝大学へ行って破損の状況を見廻ってから、本郷通りを湯島五丁目辺まで行くと、綺麗に焼払われた湯島台の起伏した地形が一目に見え上野の森が思いもかけない近くに見えた。
— 寺田寅彦 『震災日記より』 青空文庫
たとえ音楽会の帰りに電車の中でけんかをし、宅へ帰って家族をしかったりする事があるとしても、その日の音楽から受けた無自覚な影響が、後に思いもかけない機会に、ある積極的な効果として現われる場合がかなり多いのではあるまいか。
— 寺田寅彦 『丸善と三越』 青空文庫
何か自分が思いもかけない結果を渡瀬さんに与えたのではないかと思うと、自分というものが怖ろしいようだった。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
思いもかけない事が起りますよ。
— 太宰治 『正義と微笑』 青空文庫
枯木も山の賑わいというところだったのだが、それが激賞されるほどの善行であったとは全く思いもかけない事であった。
— 太宰治 『鉄面皮』 青空文庫
マッチの燃えさしを取り落しながら……これは警察当局のトリックじゃないか……といったような疑いをチラリと頭の片隅に浮かめかけたようであったが、その瞬間に、思いもかけない私の背後のクラ暗の中から、若い女の笑い声が聞えて来た。
— 夢野久作 『縊死体』 青空文庫
球根はフリージアに相違なかったが、差出人は堅吉の思いもかけない人であった。
— 寺田寅彦 『球根』 青空文庫