結び矢
むすびや
名詞
標準
文例 · 用例
狼はすでに結び矢来の中に放されていたが、不安な様子で、背筋の毛を逆立て、牙を剥きだしながら、矢来の中央に四足を張って立っていた。
— 山本周五郎 『備前名弓伝』 青空文庫
一の矢をつがえ、二の矢、つまり命矢というのを弓に則えて持ち、馬を駈りながら見やると、狼は結び矢来の中央に四足を張って立ったまま動かない、しかし何十回となく猟師に追われ、矢弾丸の危険を飽きるほど経験しているから、いま馬上に弓を構えた男が自分を狙っているのだということは感づいている。
— 山本周五郎 『備前名弓伝』 青空文庫
狼がじっとして動かないから、平五郎は今のうちにと思い、ぱっと馬にもろかくを当てる、たたたたたっ結び矢来に沿って驀地に近づきながら、つと馬上に伸び上り、狙い定めてふっと一の矢を射て放った。
— 山本周五郎 『備前名弓伝』 青空文庫
……さすがに気合が違うとみえ、いま迄ふてぶてしく構えていた狼が右門作が現われると様子が変り、ちらちらと横目で見ながら結び矢来の中をあちらこちらと走りはじめた。
— 山本周五郎 『備前名弓伝』 青空文庫
三之丞は気づいているのかいないのか、馬にだくを踏ませて結び矢来へ近づいたが、いきなり、「え――い!
— 山本周五郎 『備前名弓伝』 青空文庫
結び矢来の内と外、向うの端を風のように走っている狼、三之丞は馬上にはじめて弓を取り直し、矢をつがえた。
— 山本周五郎 『備前名弓伝』 青空文庫