悒鬱
悒鬱
名詞
標準
文例 · 用例
醗酵し切らない濁酒のやうな不純な、鈍重な、齒切れの惡い悒鬱が何所からともなく私の心と肉とをさいなんでかゝる。
— 有島武郎 『春』 青空文庫
冬が北國を訪れて、眼に見る限りのものを悒鬱な黒と白とに變へてしまつてから四ヶ月が經つ。
— 有島武郎 『春』 青空文庫
彼は偉大なのらくら者、悒鬱な野心家、華美な薄倖児である。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
手狭な悒鬱しい彼の六畳の書斎にはとてもそぐわない雰囲気であった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
」 庸三は悒鬱い自分の恋愛とは違って、彼らの恋愛をすばらしく絢爛たるものに評価し、ひそかに憧憬を寄せていたのだったが、合理的な清川のやり口の手堅さを知ることができたと同時に、葉子の色もいくらか褪せて来たような感じだった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
「サア、ここは悒鬱しくていけません。
— 徳田秋声 『新世帯』 青空文庫
その頃の悒鬱しい家や庭がすつかり潰されて、新らしい家が幾つも軒を並べてゐた。
— 徳田秋聲 『和解』 青空文庫
悒鬱――十六七の少年には哺めそうもない重い悒鬱を、見る者はすぐ感ずる事ができた。
— 有島武郎 『生まれいずる悩み』 青空文庫