虫草
むしくさ
名詞
標準
文例 · 用例
瑠璃色の松虫草と、大原の水分を一杯に吸い込んで、ふくらんだような桔梗のつぼみからは、秋が立ち初めている。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
中の茶屋へ着くと、松虫草の紫は、見る影もなく褪せているが、鳥冑草は濃紫に咲いている、そして金屏風を背後にした菊花のように、この有毒植物の、刺戟強い濃紫は、焼砂の大壁を背景にして、荒廃の中に、一点の情火を、執念くも亡ぼさずにいる。
— 小島烏水 『雪中富士登山記』 青空文庫
たとえば「松虫草」と「なべな」、「ほたるぶくろ」と「つりがねにんじん」といったようなものである。
— 寺田寅彦 『沓掛より』 青空文庫
『朱子文集』に、「一本はこれ本の処、万殊はこれ作用の処、自然界で之を言えば、一本はこれ元の気が日月星辰昆虫草木に於いて同じではないが夫々に一気は生じる。
— 幸田露伴 『一貫章義(現代訳)』 青空文庫
万殊は則ち日月星辰昆虫草木がこれを得て生じるところで、一箇は一箇の模様がある。
— 幸田露伴 『一貫章義(現代訳)』 青空文庫
松虫草がちらほらと咲いてゐる。
— 北原白秋 『蜜柑山散策』 青空文庫
疎らな芒に交つて松虫草の花がびつしりと連つて居る。
— 長塚節 『旅の日記』 青空文庫
)秋風に別れ別れの虫と虫草の葉かげでころりんと別れのゆふべ鳴いたとさ秋風に別れ別れの野辺に来てけふも一人でころりんと鳴けばむかしの虫が来る かも瓜 (如何にも感に堪へたやうに)お蔭でわしの憂鬱もどつかへけし飛んでしまつたやうだ。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫