薄青い
うすあおい
形容詞
標準
文例 · 用例
空気は頬一杯に吹かれてビードロのように、薄青い光を含んで流動している。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
何しろその体裁ですから、すなおな髪を引詰めて櫛巻でいましたが、生際が薄青いくらい、襟脚が透通って、日南では消えそうに、おくれ毛ばかり艶々として、涙でしょう、濡れている。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
早や、旧来た瓦斯に頬冠りした薄青い肩の処が。
— 泉鏡花 『第二菎蒻本』 青空文庫
…… 座席の青いのに、濃い緑が色を合わせて、日の光は、ちらちらと銀の蝶の形して、影も翼も薄青い。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫
しかし、今の家内を貰ってから、福沢宗になりましてね、堅蔵ですよ」「お金をたくさん持って面白い」「何とか有効に使わなくちゃならないと考えて来るようになっちゃ、もう面白くありませんな」「そう」 小初は、もう料理のコースの終りのメロンも喰べ終って、皮にたまった薄青い汁を小匙の先で掬っていた。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
この日桂子は殆ど純白とも見える薄青い洋装をしてゐた。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
既に膝に乘つて、噛り着いて居た小兒は、其なり、薄青い襟を分けて、眞白な胸の中へ、頬も口も揉込むと、恍惚と成つて、最う一度、ひよいと母親の腹の内へ安置され終んぬで、トもんどりを打つて手足を一つに縮めた處は、瀧を分けて、すとんと別の國へ出た趣がある、……そして、透通る胸の、暖かな、鮮血の美しさ。
— 泉鏡太郎 『霰ふる』 青空文庫
先に――七|里半の峠を越さうとして下りた一見の知己が居た、椅子の間を向うへ隔てて、彼と同じ側の一隅に、薄青い天鵝絨の凭掛を枕にして、隧道を越す以前から、夜の底に沈んだやうに、煙に陰々として横倒れに寐て居たのが、此の時仁王立ちに成つたのである。
— 泉鏡太郎 『魔法罎』 青空文庫