慰斗
慰斗
名詞
標準
文例 · 用例
――夏目漱石を博士呼ばはりをすると、博士号なぞ慰斗つきの儘送り返したのだと言つて、胃病患者につき物の苦い顔をするかも知れないが、まあさ、辛抱して貰ひたい。
— 大正八(一九一九)年 『茶話』 青空文庫
おしまさん (鏡台の抽斗をかきまはし)こんな処に、慰斗がはひつてら……。
— 岸田國士 『留守(一幕)』 青空文庫
諸君の胸を張り裂くように、いま壁の向う側に苦しい咳をしているのは、火慰斗かけの女であるとか。
— AUX JEUNES GENS 『青年に訴う』 青空文庫
わたしがお前なら、慰斗をくわえて、飛んで行くが」と、義弟の無慾を罵倒した。
— 火野葦平 『花と龍』 青空文庫
吉田親分さんのお志、ありがたく頂戴いたして置きます」「こら、金さん、そんな汚れた銭、受け取んな」「まあ、おれに委せとけ」 金五郎は、そういって、君香から、「御見舞」と、表に、太く墨書された、部厚な慰斗袋を受けとった。
— 火野葦平 『花と龍』 青空文庫
水引と慰斗とをかけた桶の中には、青笹を蒲団に、巨大な赤鯛が二尾、イセエビが一匹、鯛の肌のうえには、「祝儀」の二字を太い筆でかいた奉書包み、それには、少からぬ紙幣束が入っているらしく、厚くふくらんでいる。
— 火野葦平 『花と龍』 青空文庫