野性味
やせいみ
名詞
標準
文例 · 用例
旅に病んで、つく/″\練れてゐない自分、磨かれてゐない自分、そしてしかも天真を失ひ純情を無くした自分、野性味もなく修養価値もない自分を見出さゞるを得なかつた。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫
庵の周囲は曼珠沙華の花ざかり、毒々しい花だけれど、捨てがたい野性味がある、人がかへりみないだけ私は心をひかれる。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
層雲俳句に対していつも慊らなく感じることは、野性味のないことである(野心的な句はさうたう見うけるが)、小さいナイフのやうな句ばかりで大鉈のやうな句がない。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
石蕗の花がぼつ/\咲きだした、野性味がある、下品なやうでおつとりしてゐる、私の好きな花の一つだ。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
リラ・ブランの甘さをキイノートとし、これにバイオレツト・リーブスのやうな快い野性味を極少量伴奏させ、更にジヤスマンの古典風景で包んだとしたら如何であらう、この女性に似合はしくはないか。
— ――漫談的無駄話―― 『「香水の表情」に就いて』 青空文庫
国事を談ずる、という風にやっていてね、独特な野性味があって、つまり地声でやっているのね。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
正枝は何だかしっくりしない気持で、野性味のある秀才型の李の顔を、しみじみ眺めた。
— 豊島与志雄 『浅間噴火口』 青空文庫
造りの大きい、小気味のよい野性味をくっきりと残したレイモンドの顔には、南太平洋の孤島の砂浜で見る広大な水平線のような悲しみがある。
— 片岡義男 『波乗りの島』 青空文庫