蘭館
らんかん
名詞
標準
文例 · 用例
其の一の、和蘭館の貴公子と、其の父親の二人が客で。
— 泉鏡太郎 『印度更紗』 青空文庫
「経籍訪古志本文中酌源堂の蔵儲を採録せるは僅に六七種に過ぎず、之を求古楼、崇蘭館、宝素堂等の所蔵に比べて、珍本良書の数量上に著き遜色あるが如く見ゆるは怪むべし」と云つてゐる。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
長崎表での蘭館への出入は、常法があって、かなり厳しく取り締られていたが、カピタンが江戸に逗留中の旅館であるこの長崎屋への出入は、しばらくの間のこととて、自然何の構もなき姿であった。
— 菊池寛 『蘭学事始』 青空文庫
応挙は、紅白の旗を翻した出島の蘭館を前景に、港の空にあらわれた入道雲を遠景にして、それらのオランダ船を描いている。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫
蘭館では饗宴の席を設け、奉行並に奉行所役人、通詞出島乙名、その他友人、蘭館出入りの者を招いて盛な酒宴を催してこの日を祝う。
— 長崎ものがたり 『平賀源内捕物帳』 青空文庫
……それにつきまして甚だ申訳がありませんが、提灯がありましたら借用ねがいたい」 と言って、提灯を借受けると、スタコラと出島の蘭館を出て行った。
— 長崎ものがたり 『平賀源内捕物帳』 青空文庫
出島の蘭館にも出入して彼自身の筆になる、彼が蘭館甲比丹たちから饗應を受けた繪があるくらゐだ。
— 徳永直 『光をかかぐる人々』 青空文庫
彼の生れた文政七年は西暦にすると一八二四年で、當時の長崎を歴史的に想像してみると、その前年文政六年には、彼の新大工町とはつい眼と鼻のちかくにある出島の蘭館に、館附醫員として血氣二十六歳のフオン・シーボルトが來朝してゐた。
— 徳永直 『光をかかぐる人々』 青空文庫