腮
腮
名詞
標準
文例 · 用例
母が心の何方に走れりとも知らで、乳に倦きれば乳房に顔を寄せたるまゝ思ふ事なく寐入し児の、頬は薄絹の紅さしたるやうにて、何事を語らんとや、折々曲ぐる口元の愛らしさ、肥えたる腮の二重なるなど、かかる人さへある身にて、我れは二タ心を持ちて済むべきや。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
峡谷の水分を含んだ冷たい吐息が、頬や腮にかかる。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
幾重の雲の中から、名の知れない山の顔が……肩から肩へと、腮を載せて、私を冷やかに見ている。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
眞黒な艷の佳い洋犬が一|匹、腮を地に着けて臥べつて、耳を埀れたまゝ是れ亦尾をすら動かさず、廣庭の仲間に加はつて居た。
— 国木田独歩 『湯ヶ原ゆき』 青空文庫
」と松木が又た口を入れたのを、上村は一寸と腮で止めて、ウイスキーを嘗めながら「断然この汚れたる内地を去って、北海道自由の天地に投じようと思いましたね」と言った時、岡本は凝然と上村の顔を見た。
— 国木田独歩 『牛肉と馬鈴薯』 青空文庫
」と近藤はその四角な腮を突き出した。
— 国木田独歩 『牛肉と馬鈴薯』 青空文庫
妻のお政はすやすやと寝入り、その傍に二歳になる助がその顔を小枕に押着けて愛らしい手を母の腮の下に遠慮なく突込んでいる。
— 国木田独歩 『酒中日記』 青空文庫
……うふッ、)と腮の震えたように、せせら笑ったようだっけ、――ははあ……」 十五「今の腕車に、私が乗っていたのを知って、車夫が空で駆下りた時、足の爪を轢かれたとか何とか、因縁を着けて、端銭を強請るんであろうと思った。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
ウィキペディア曖昧さ回避
腮(サイ) えら - 「鰓」と表記することが多い。「顋」とも表記する。 顎
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