変哲もない
へんてつもない
表現形容詞
標準
ordinary
文例 · 用例
中には、それはおまへの今ゐるのが何の変哲もない峠道のことで、闇夜のことだし草一本満足には見えぬ有様だからだらうなぞ思ふ人もあるかも知れぬ。
— 中原中也 『深夜の峠にて』 青空文庫
」「へい、」と言ったが、車夫は変哲もない顔色で、そのまま棒立。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
田舎道を乗合馬車が行くのを一台の自動車が追い駈けて行く、と前方の瀬戸内海に太陽が昇りはじめる、馬車の乗客が「おい、見ろ、昭和二十年の太陽だ」という――ただそれだけの何の変哲もない他愛もない夢であるが、この夢から私は次のように短かい物語を作ってみた。
— 織田作之助 『電報』 青空文庫
この娘こそ虫が好く虫が好くと思いながら、鼈四郎は、逸子との変哲もない家庭生活に思わず月日を過し子供も生れてしまった。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
」 と変哲もない愛想笑。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
甲府市外の湯村温泉、なんの変哲もない田圃の中の温泉であるが、東京に近いわりには鄙びて静かだし、宿も安直なので、私は仕事がたまると、ちょいちょいそこへ行って、そこの天保館という古い旅館の一室に自らを閉じこめて仕事をはじめるということにしていたのである。
— 太宰治 『黄村先生言行録』 青空文庫
それを他人の家の猫を借りて来たような変哲もない芸妓を貰い込んでしまったので、わたしに対する熱意は薄らいだが、なお悴に日本一になって貰う事には未練がある。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
しかし、読者の度胆を抜くような、そして抜く手も見せぬような巧みに凝られた書出しよりも、何の変哲もない、一見スラスラと書かれたような「弥生さんのことを書く」という淡々とした書出しの方がむずかしいのだ。
— 織田作之助 『四月馬鹿』 青空文庫
作例 · 標準
休日はどこに出かけるでもなく、家で愛猫とゴロゴロしながら映画を見るという、なんの変哲もない一日を過ごすのが好きだ。
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彼女が作ってくれるお弁当は、卵焼きやウインナーなどが入ったなんの変哲もないものだが、冷めてもとても美味しい。
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観光ガイドにも載っていないような何の変哲もない小さな港町だったが、そこで見た夕日の美しさは今でも心に焼き付いている。
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