宿村
しゅくそん
名詞
標準
文例 · 用例
「私もいささかこの東海道を研究してみましたのですが、御承知の通り、こんなに自然の変化も都会や宿村の生活も、名所や旧蹟も、うまく配合されている道筋はあまり他にはないと思うのです。
— 岡本かの子 『東海道五十三次』 青空文庫
九月の二十七日には、木曾谷中宿村の役人が福島山村氏の屋敷へ呼び出された。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
宿村へ仰せ渡され候書付「方今の御時勢、追い追い伝聞いたしおり申すべく候えども、上方辺の騒動容易ならざる事にこれあり、右残党諸所へ散乱いたし候につき、御関所においてもその取り締まり方、御老中より御話し相成りし次第に候。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
木曾の儀、辺土とは申しながら街道筋にこれあり候えば、もはや片時も油断相成りがたく、宿村役人においてもかかる容易ならざる御時勢をとくと弁別いたされ、申すにも及ばざる儀ながら木曾谷|庄屋問屋年寄などは多く旧家筋の者にこれあり候につき、万一の節はひとかどの御奉公相勤め候心得にこれあるべく候。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
なお、右のほか、帯刀御免の者、ならびに旧家の者などへもよくよく申し諭し、随分武芸心がけさせ候よういたすべく候……」 半蔵はこの書付を伊之助から受け取って見て、公辺からの宿村の監視がいよいよ厳重になって行くことを知った。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
木曾谷支配の山村氏が宿村に与えた注意は、単に時勢を弁別せよというにとどまらなかった。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
諸国に頻発する暴動ざたが幕府を驚かしてか、宿村の取り締まりも実に厳重をきわめるようになった。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
なんと言っても当時の街道筋はまだやかましい昔の気風を存していたから、馬士や牛追いの中には啣え煙管なぞで宿村内を歩行する手合いもあると言って、心得違いのものは取りただすよしの触れ書が回って来たほどだ。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫