隣屋敷
となりやしき
名詞
標準
文例 · 用例
大塚の隣屋敷に広い桑畑があって其横に板葺の小な家がある、それに老人夫婦と其ころ十六七になる娘が住で居ました。
— 国木田独歩 『運命論者』 青空文庫
隣屋敷の沈んだ琴の音が若葉をくぐってゆるく流れて来るのを、彼女は聴くともなしに耳を傾けていたのであった。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫
それは隣屋敷の惣領娘で、今から四、五年前に家格が釣合わない位に違う大身の屋敷へ器量望みで貰われて行った。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫
此家の隣屋敷の、時は五月の初め、朝な/\學堂へ通ふ自分に、目も覺むる淺緑の此上なく嬉しかつた枳殼垣も、いづれ主人は風流を解せぬ醜男か、さらずば道行く人に見せられぬ何等かの祕密を此屋敷に藏して置く底の男であらう、今は見上げる許り高い黒塗の板塀になつて居る。
— 石川啄木 『葬列』 青空文庫
此家の隣屋敷の、時は五月の初め、朝な/\学堂へ通ふ自分に、目も覚むる浅緑の此上なく嬉しかつた枳殻垣も、いづれ主人は風流を解せぬ醜男か、さらずば道行く人に見せられぬ何等かの秘密を此屋敷に蔵して置く底の男であらう、今は見上げる許り高い黒塗の板塀になつて居る。
— 石川啄木 『葬列』 青空文庫
邸内かな、それとも隣屋敷か……)と、思いながら上野は、「火事か」と、隣にいるはずの近侍に声をかけた。
— 菊池寛 『吉良上野の立場』 青空文庫
小使いの音吉が来て三尺四方ばかりの炉を新規に築き上げてくれた頃、高瀬は先生の隣屋敷の方からここへ移った。
— 島崎藤村 『岩石の間』 青空文庫
隣屋敷まで聞えそうな声で、わめき立てた事も一再ではない。
— 芥川龍之介 『忠義』 青空文庫