時の間
ときのま
名詞
標準
文例 · 用例
何時の間にか、眼が悪くなって府下の有名な眼科医三四人に診察を乞うて見ると、云うことが皆同じである、曰く進行近視眼、曰く眼底充血、最後に当時最も雷名ありし、井上達也氏に見て貰うと、卒直なる同氏はいう、君の眼は瀬戸物にひびが入った様なものじゃ。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
くつわ虫はかしましき声もかたちもいと丈夫めかしきを、何しか時の間におとろへ行くらん。
— 樋口一葉 『あきあはせ』 青空文庫
橇は何時の間にか車になつてゐる。
— 有島武郎 『春』 青空文庫
寢不足にまけ、暑さにまけ、焦慮にまけて私は何時の間にか假寢をしてゐたのだ。
— 有島武郎 『小さき影』 青空文庫
何時の間にか世の中は眩しいやうな朝の光になつてゐた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
つまり近代は、表現方法の考究を生命自体だと何時の間にか思込んだことである。
— 中原中也 『生と歌』 青空文庫
と、蟇蛙が一匹、ピクピク/\しながら何時の間にか、庭の真中に匐ひ出してゐた。
— 中原中也 『良子』 青空文庫
」兄は何時の間にか昂奮してゐた。
— 中原中也 『耕二のこと』 青空文庫