煤け
すすけ
名詞
標準
文例 · 用例
それから消化不良のうどんを食つて煤けた電氣の下に寢そべつてゐた。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
頸を伸ばして隣りの三畳間を覗くと、三畳間の隅に、こわれかかった七輪が置かれてあって、その上に汚く煤けたアルミニュームの薬鑵がかけられている。
— 太宰治 『不審庵』 青空文庫
この盛んな勢いで生長している植物の葉の茂りの中に、枯れかかったような薔薇の小枝から煤けた色をした妙なものが一つぶら下がっている。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
その新たに延びた部分だけが際立って生々しく見え、上の方の煤けた色とは著しくちがっているのであった。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
昔は大きな火鉢に炭火を温かに焚いていたのが、今は煤けた筒形の妙なストーブのようなものが一つ室の真中に突立っていた。
— 寺田寅彦 『雑記(2)』 青空文庫
室の入口の壁に立っているスチームヒーターの上に当る白壁が黒く煤けているのが特に目立って不愉快であった。
— 寺田寅彦 『病中記』 青空文庫
ワシントンからマウント・ウェザーの気象台へ見学に出かけた田舎廻りのがたがた汽車はアメリカとは思われない旧式の煤けた小さな客車であったが、その客車が二つの仕切りに区分されていて、広い方の入口には「ホワイト」、狭い方には「カラード」という表札が打ってある。
— 寺田寅彦 『チューインガム』 青空文庫
煤けた天井から、よれよれになつた電線を引いて、傘もない塵芥だらけの電燈の球が黄色い光をとろんとあたりへ投げてゐた。
— 南部修太郎 『ハルピンの一夜』 青空文庫