攀登
はんとう
名詞
標準
文例 · 用例
しかしこんな事に凹垂れる吾輩でない、などと先頭に立っているので大いに得意になり、津川子と共にエイヤエイヤの掛声を揚げて攀登る。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
が、拝殿の、階の、あの擬宝珠の裂けた穴も昔のままで、この欄干を抱いて、四五尺、辷ったり、攀登ったか、と思うと、同じ七つ八つでも、四谷あたりの高い石段に渡した八九|間の丸太を辷って、上り下りをする東京は、広いものです。
— 泉鏡花 『菊あわせ』 青空文庫
口も利かずに黙って腰かけているお島は、ふと女坂を攀登って、石段の上の平地へ醜い姿を現す一人の天刑病らしい躄の乞食が目についたりした。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
岩壁は攀登れそうもないので、木を伝って横の堤に上る。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
が、やがて傍の岩蔭に聳えたる山椿の大樹に眼を注けると、彼は忽ち猿のように其の梢にするすると攀登った。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
」 上と下とて遥かに呼び合っていたが、何を云うにも屏風のような峭立の懸崖幾丈、下では徒爾に瞰上げるばかりで、攀登るべき足代も無いには困った。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
それでも彼は猶一方の血路を求めて、唯ある人家の屋根へ攀登った。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
その薦包みの固い山を攀登って暗い天井の方へ突進して行くと、藁のにおいがふと興奮をそそる。
— 原民喜 『昔の店』 青空文庫