弱肉
じゃくにく
名詞
標準
文例 · 用例
儂熟針を蓄え、優勝劣敗、弱肉強食、日々に鷙強の欲を逞しうし、頻りに東洋を蚕食するの兆あり、しかして、内我が国外交の状態につき、近く儂の感ずる処を拳ぐれば、曩日に朝鮮変乱よりして、日清の関係となり、その談判は果して、儂ら人民を満足せしむる結果を得しや。
— 福田英子 『妾の半生涯』 青空文庫
さればおなじく自然といひ、造化といへど、ゾラが自然は弱肉強食の自然なるに、撫象子が造化は蝶舞ひ鳥歌ふ造化なり。
— 森鴎外 『柵草紙の山房論文』 青空文庫
氏に従えば人性は全然悪であって弱肉強食が自然の状態である。
— 西田幾多郎 『善の研究』 青空文庫
押し退けられ、※ね飛ばされる婦人客、踏み殺される子供、積み過ぎてあわやと言う間に底を見せる短艇、最も露骨な弱肉強食の場面――この地獄の現出を避けて、船長は遂に真相を発表せずに最後の瞬間を待ったのだと、いわれているが、何うも怪しい。
— 牧逸馬 『運命のSOS』 青空文庫
なぜなら、(生存競争弱肉強食の法則を是正し、人類文化遺産の継承を行ふのが、人間の根本倫理)だからと語る。
— 原民喜 『「狂気について」など』 青空文庫
日本の夫れは大家族主義的、相互扶助的であるが、米国の夫れは、利己主義的、弱肉強食的である。
— 国枝史郎 『世界の裏』 青空文庫
共産主義者そのほか、人類社会が発展し幸福になるためには、社会生産の機構が資本の解放とともにもっと万人の幸福のためになるようにくみかえられなければならないと考える人々は、労働者にしろ学者にしろ、資本の独占の形や、それを守るための弱肉強食に賛成しない。
— 宮本百合子 『便乗の図絵』 青空文庫
他人を処罰する思想からは強食弱肉の半獣世界が引出され、軍国主義や特権主義が跋扈して、平等と自由と愛とに確保された人類の平和というものが期待されなくなります。
— 与謝野晶子 『新婦人協会の請願運動』 青空文庫