漏れ出る
もれでる
動詞
標準
文例 · 用例
雲|山岫に湧くごとく、白気|件の欄干を籠めて、薄くむらむらと靉靆くのは、そこから下りる地の底なる蒸風呂の、煉瓦を漏れ出る湯気である。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
採光窓から漏れ出る半円形の明かりの下、外で何かを待っている。
— THE ADVENTURE OF THE BLUE CARBUNCLE 『蒼炎石』 青空文庫
残っているのは敷石の亀裂から漏れ出る、黄色い光のみ。
— THE RED-HEADED LEAGUE 『赤毛連盟』 青空文庫
そうして、それが本当のくちびるから漏れ出るようにわたしの胸の奥にひびくのでした。
— クラリモンド 『世界怪談名作集』 青空文庫
一とせ下谷のほとりに仮初の家居して、商人といふ名も恥かしき、唯いさゝかの物とり並べて朝夕のたつきとせし頃、軒端の庇あれたれども、月さすたよりとなるにはあらで、向ひの家の二階のはづれを僅かにもれ出る影したはしく、大路に立て心ぼそく打あふぐに、秋風たかく吹きて空にはいさゝかの雲もなし。
— 樋口一葉 『あきあはせ』 青空文庫
その証拠には、街頭を歩いているラッパズボンのボーイらが店頭からもれ出るジャズレコードの音を聞けば必ず安物の器械人形のように踊りだす。
— 寺田寅彦 『映画時代』 青空文庫
ささくれて、赤くかわいた口びるからもれ出るあの囈言……それがどうかすると近々と耳に聞こえたり、ぼんやりと目を開いたりするその顔が浮き出して見えたりした。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
が、その抱擁から引き離されて、女看守に手を取られて退廷する時、初めて人々は、彼女の口から洩れ出る長い低い啜泣きの声を聞いた。
— 牧逸馬 『アリゾナの女虎』 青空文庫