来頓
らいとみ
名詞
標準
文例 · 用例
彼の肘の前にある灰皿の中の、喫ひ終つたばかりの喫殻から登る紫色の煙と、他の古い喫殻にそれが燃え移つて出る茶褐色の毒々しい煙とが、やゝもすれば彼の顔に打つ衝かつたが、そんなことには元来頓着ない彼であつた。
— 中原中也 『医者と赤ン坊』 青空文庫
親しい友へのたよりに――……卒倒以来頓に心地明快、節酒も出来るやうになつて、といふよりも酒への執着がうすくなつて、生き方に無理がなくなつたので、身心共にやすらかです(まだ、すこやかとはいひきれませんが)、とにかく、生きられるだけは生きて、死ぬるときは死ぬるのがよいではありませんか。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
何レモ少年時代ノ幾年カヲワガ塾生トシテ過シタル諸君デアルガ、業成リ世ニ出デテナホ旧師ノ門ヲ叩ク可憐ナル礼節ハ近来頓ニ振ハザル傾向ト思フガ、ソノ若干ノ例外中、六、七割マデハ軍服ヲ著タ連中デアル。
— 岸田國士 『双面神』 青空文庫
余の聞ける所にては、伊藤侯は二三年以来頓に健康に異状を呈し、筋肉の機能次第に衰憊したると共に、神経系統の感応作用は反つて過敏と為り、随つて喜怒愛憎の変転甚だ迅速にして端睨す可からざるものありと。
— 鳥谷部春汀 『明治人物月旦(抄)』 青空文庫
余の聞ける所にては、伊藤侯は二三年以來頓に健康に異状を呈し、筋肉の機能次第に衰憊したると共に、神經系統の感應作用は反つて過敏と爲り、隨つて喜怒愛憎の變轉甚だ迅速にして端睨す可からざるものありと。
— 鳥谷部春汀 『明治人物月旦(抄)』 青空文庫