騾
騾
名詞
標準
文例 · 用例
――かの山と雲の棧道、騾馬は霧の中に道を求め、窟には年経し竜の族棲む……」と法水が意地悪げな片笑を泛べたとき、入口の扉に、夜風かとも思われる微かな衣摺れがさざめいた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
土の反射と、直射で灼りつくような熱気には、騾の幌車にいてもマヌエラは眠ってしまう。
— 有尾人 『人外魔境』 青空文庫
それは、抵抗のつよい騾をのぞくほか、いそいで河中に追いこんだ水牛六頭以外は、野牛も駱駝も馬も羊も、みな毒蠅のツェツェに斃されたのだ。
— 有尾人 『人外魔境』 青空文庫
するとそれから、騾をつないであるアカシヤのしたまで来ると、とたんに、そばの草叢がガサガサっと動いた。
— 小栗虫太郎 『一週一夜物語』 青空文庫
僕は、その腹芸を怪訝に思い、とにかく、騾を引いてきてお乗んなさいとばかりにすると、「君、ちょっとあの男を呼んで来てくれんかね」 と云うのだ。
— 小栗虫太郎 『一週一夜物語』 青空文庫
「それは好いが、先生自分で鞭を持って、ひゅあひゅあしょあしょあとかなんとか云って、ぬかるみ道を前進しようとしたところが、騾馬やら、驢馬やら、ちっぽけな牛やらが、ちっとも言うことを聞かないで、綱がこんがらかって、高粱の切株だらけの畑中に立往生をしたのは、滑稽だったね。
— 森鴎外 『鼠坂』 青空文庫
君だの、あの騾馬を手に入れて喜んだ司令官の爺いさんなんぞは、仙人だと思ったよ。
— 森鴎外 『鼠坂』 青空文庫
仲間の八人と、騾馬をひく馬夫とがまず飯を食った。
— 池北偶談 『中国怪奇小説集』 青空文庫