葎
むぐら異読 もぐら・うぐら
名詞
標準
creepers
文例 · 用例
そうしてその碑石が八重葎に埋もれた頃に、時分はよしと次の津浪がそろそろ準備されるであろう。
— 寺田寅彦 『津浪と人間』 青空文庫
この壁柱は星座に聳え、白雲に跨がり、藍水に浸つて、露と雫を鏤め、下草の葎おのづから、花、禽、鳥、虫を浮彫したる氈を敷く。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
其の茶屋あとの空地を見ると、人の丈よりも高く八重葎して、末の白露、清水の流れに、螢は、網の目に眞蒼な浪を浴びせて、はら/\と崖の樹の下の、漆の如き蔭を飛ぶのであつた。
— 泉鏡太郎 『月夜』 青空文庫
先生|葎ではございますが、庭も少々、裏が山|続で風も佳、市にも隔って気楽でもございますから御保養かたがたと、たって勧めてくれたのが、同じ教子の内に頭角を抜いて、代稽古も勤まった力松という、すなわちお雪の兄で、傍ら家計を支えながら学問をしていたが、適齢に合格して金沢の兵営に入ったのは去年の十月。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
「助けてくれ……」「…………」「…………」「宰八よう、」―― と、葎がくれに虫の声。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
が、吉野紙を蔽えるごとき、薄曇りの月の影を、隈ある暗き葎の中、底を分け出でて、打傾いて、その光を宿している、目の前の飛石の上を、四つに這廻るは、そもいかなるものぞ。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
さやさやと葎を分けて、おじいどうした、と摺寄ると、ああ、宰八か助けてくれ。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
この姿は、葎を分けて忍び寄ったはじめから、目前に朦朧と映ったのであったが、立って丈長き葉に添うようでもあり、寝て根を潜るようでもあるし、浮き上って葉尖を渡るようでもあった。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
作例 · 標準
夏の間に、庭のフェンスには葎が絡みついていた。
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古い家の壁には、所々に葎が生い茂っていた。
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葎に覆われた廃屋は、どこか神秘的な雰囲気を醸し出している。
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