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すくう

すくう
動詞
1
標準
文例 · 用例
そしてそのたびに柄杓が水をすくうように、デッキは波浪をすくい込んだ。
葉山嘉樹 海に生くる人々 青空文庫
さきの河原で宿取って、鯰が出て、押えて、手で取りゃ可愛いし、足で取りゃ可愛いし、杓子ですくうて、線香で担って、燈心で括って、仏様のうしろで、一切食や、うまし、二切食や、うまし…… 紀州の毬唄で、隠微な残虐の暗示がある。
泉鏡花 燈明之巻 青空文庫
わたくしがはたらきながら、また重いものをはこびながら、手で水をすくうことも考えることのできないときは、そこから白びかりが氷のようにわたくしの咽喉に寄せてきて、こくっとわたくしの咽喉を鳴らし、すっかりなおしてしまうのです。
宮沢賢治 イーハトーボ農学校の春 青空文庫
人生百般――と、敢えて大きく出ぬまでも、凡そ人間の成すべきことにして、不正、不義、傲慢のこの三つを除いたありとあらゆる中で、この佐助に能わぬことが、耳かきですくう程もあれば言ってみろ!
織田作之助 猿飛佐助 青空文庫
しかし、京吉にはそんなエティケットの持ち合わせは、耳かきですくう程もなかった。
織田作之助 土曜夫人 青空文庫
理由はきかず、命令的な京吉の調子だけが、ぐっと自尊心に来て、「あんた、あたしに命令する権利、耳かきですくう程もないわよ」 迷っていたのが、この一言できまってしまい、声も言葉づかいも、もうダンサーではなかった。
織田作之助 土曜夫人 青空文庫
追われる気持よりもいっそつかまった方が気が楽だと、脱走の意志は耳かきですくうほどしかなく、逃げられれば逃げたいという願いよりさきに、諦めが立っていた。
織田作之助 土曜夫人 青空文庫
――人々はもはや耳かきですくうほどの理性すら無くしてしまい、場内を黒く走る風にふと寒々と吹かれて右往左往する表情は、何か狂気じみていた。
織田作之助 競馬 青空文庫